7歳の侯爵夫人

5

さらに1ヶ月が過ぎた。

少し落ち着いて前を向けるようになってきたコンスタンスは、家族や使用人たちとも日常的に話すようになった。
いつまでも引きずっていても仕方がないと、最近では自分から王太子の話題を振ることもある。
皆平静を心がけているのか、気まずそうにはせずに答えてくれる。
そんなところにまで気を使ってもらっていたのかと、なんだか申し訳ないくらいだ。

とにかく、話によると王太子は隣国の王女と睦まじい様子をあちこちでアピールしているらしい。
「内情はわからないが、殿下も頑張っているんだろう」
とは、父の言である。

頑張っている…、か。
そう、フィリップだって、国の被害者だったのだ。
コンスタンスは自分ばかり悲しんでいると思っていたことに気づいて恥ずかしくなった。
ここは国民の1人として、王太子の成婚を喜ぶべきところなのに。

オレリアンとも、そろそろ会って先の話をしなくてはいけないと思う。
彼には「落ち着いたら連絡する」とエリアスを通して伝えてもらっていたが、それでも彼はコンスタンスに花を贈り続けてくる。

オレリアンとしては、自分の存在をコンスタンスに知ってもらっただけで、彼女から伝言があっただけで、嬉しかったのだけれど。
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