7歳の侯爵夫人
婚約の解消後も、公爵家では屈辱の日々を余儀なくされた。
いくら隣国の横槍が入ったとは言え、王太子との婚約が解消された令嬢はキズモノ同然だ。
捨てられたわけでもないのにさも王太子に捨てられたような話になっている。
国のために涙を飲んだ公爵家に同情する気持ちはあっても、とかく人は噂好きであるから。

コンスタンスの新たな婚約者探しが始まったが、長年お妃教育を受けて自国を知り尽くしている彼女を他の国に嫁がせるわけにはいかない。
しかし王族や高位貴族はそれなりに早いうちに許嫁がいたりするから、筆頭公爵家の令嬢と釣り合う貴族令息を自国で探すのも大変だ。

だが王家は…、とくにコンスタンスを気に入っていた王妃は、コンスタンスの新たな婚約者探しに躍起になった。
なんとしても、王太子の成婚より前にコンスタンスを嫁入りさせなければと。
例えそれを、全く彼女が望まなくとも。

そして…。
王家が新たにルーデル公爵令嬢コンスタンスに用意した花婿が、当時伯爵家を継いだばかりのオレリアンその人だった。

嫡子のいなかった伯父の急死に伴って伯爵家を継いだオレリアンは、騎士として華々しい活躍を見せていた人である。
そして見目も良く、何よりまだ婚約者がいなかった。
それが、オレリアンに白羽の矢が立った理由である。

オレリアンは王命により、ヒース侯爵への叙爵、広大な領地、花嫁の持参金…つまり婚約解消による王家からの莫大な慰謝料を条件に、ルーデル公爵令嬢コンスタンスを娶るよう命じられたのである。
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