7歳の侯爵夫人
「辛いでしょう?コンスタンス。普段清楚で貞淑な貴女にそんな目で見られたら、フィリップも我慢できないでしょうね。私が出て行ったら入れ違いにフィリップを呼ぶよう使いをやるわ。その体、フィリップに慰めてもらいなさい」
「どうして…!どう…、して、そんな酷い…こと…」
「既成事実を作るためよ。フィリップは優しいから、強引には出られないの。だから母である私がお膳立てしてあげたのよ。貴女は今から王太子の情けを受ける。情けを受けたら、もうその瞬間から貴女はこの部屋の住人よ。いくら実家や婚家が騒ごうとも、一度国王や王太子の情けを頂戴した女が後宮を出ることは出来ないわ」

たしかに、聞いたことがある。
たとえ人妻であっても、国王や王太子と情を交わした女はそのまま愛人にされ、後宮に留め置かれると。
国王や王太子の子を宿した可能性があるからだ。

「そん…な…っ!」
コンスタンスは絶望の目を王妃に向けた。

「辛そうね、コンスタンス。フィリップに鎮めてもらうといいわ」
王妃は声を上げて笑い、そして部屋を出て行った。

「いや、いやぁ…」
1人、身悶えるコンスタンスを部屋に残して。
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