7歳の侯爵夫人
『バンッ!!』
扉を開けて、フィリップが部屋に入って来た。

「コニー!どこだ⁈」
ソファに姿がないため部屋の奥へ向かおうとしたが、そこで、机の下に倒れているコンスタンスを見つけた。

「コニー!」
走り寄って抱き上げると、顔は色をなくし、左手首から血を流している。

「コニー!早まったことを!誰か!誰か医者を!」
叫びながら、自分の持っていたハンカチでコンスタンスの手首を縛る。

一方オレリアンは、後宮に向かう王太子のただならぬ姿に、言いようのない不安を掻き立てられた。
王太子の後に続こうとして、驚いた警備兵に体を抑えられ、止められる。
だが、オレリアンは警備兵の制止を振り切り、王太子を追った。

コニーが呼んでいる!
そう感じたのだ。

後で罰を受けるならそれでもいい。
コニーが、コニーが俺を呼んでいるのだ!
< 294 / 342 >

この作品をシェア

pagetop