7歳の侯爵夫人
「オレリアン様…」
コンスタンスはもう一度はっきりとオレリアンを呼んだ。
そして、涙をこぼす夫を見上げ、安心させるように小さく笑った。

「ご心配をおかけして…、申し訳ありませんでした」
そう言うと、包帯の巻かれた自分の左手に視線を落とす。
オレリアンはその白い包帯にそっと触れ、
「痛かったね…」
と呟いた。

血だらけのコンスタンスを見た時は、一瞬意識が遠のいた。
もう、あんな思いは二度としたくない。

「ここは…、王宮ですか?私はどのくらい眠っていたのでしょう?」
コンスタンスは部屋を見回し、オレリアンにたずねた。
「2日間だよ。今、義母上も隣の部屋で休んでいらっしゃるから呼んでこよう。きっと喜ばれるよ」
オレリアンが立ち上がって妻の手を離そうとすると、コンスタンスは夫の手を離さず、そのままクイッと引いた。

「コニー?」
「オレリアン様」
妻が真剣な顔で見つめてくるから、オレリアンはもう一度傍らに腰を下ろした。
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