7歳の侯爵夫人
結局私たちは結論を出さないまま、馬車に乗って王都へ戻りました。

そこで、あの事故が起きたのです。
セリーヌ様が馬車の前に飛び出した時、私は自然に体が動いておりました。
咄嗟に、オレリアン様の想い人である彼女を助けなくてはいけないと思ったのです。

あの直前、オレリアン様は興奮して迫ってくるセリーヌ様から私を庇ってくださいました。
あれでもう、十分です。
例えそれが、建前であっても。

かすれ行く意識の中で、私の名を呼ぶオレリアン様の悲痛なお顔が見えました。
でも、オレリアン様、私は大丈夫です。
だからどうか、貴方はセリーヌ様とお幸せに。
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