7歳の侯爵夫人
糸を買ったついでに喉を潤して行こうと、オレリアンは妻を隣にある小さなカフェに誘った。
2人は向かい合って座り、飲み物やケーキを注文する。

「あら、美味しい」
「どれ…、ああ本当だ。美味いね。ほらコニー、こっちもどうぞ」
2人は仲の良い恋人同士のように、お互いのケーキをつつき合って食べた。

オレリアンは昨日まで、ルーデル公爵家で療養中だった妻を毎日訪ねていた。
仕事の帰りなら一緒にお茶を飲み、非番の日なら庭に出てピクニックをしたりフィルと遊んだり。
記憶が戻って想いを通じ合わせてもまだどこかしらぎこちなかった2人の仲は、それによってどんどん近づいていった。

コンスタンスはコロコロとよく笑うようになった。
『貼り付けたような笑顔』だと思っていたことは、もう遠い昔の話だ。
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