7歳の侯爵夫人
そんなオレリアンを、ルーデル公爵は冷たく睨んだ。

「2ヶ月経ったらどうだと言うのだ。実家に戻さない限り、結局は王都のあの邸に戻って来るのだろう?その時はまたコニーを領地に残すつもりか?」
「いいえ。もちろん王都に伴うつもりです」
「それこそ言語道断だ。父として、コニーをあんな家に戻すわけにはいかない」

長期休暇で領地に戻ると言っても、オレリアンは騎士団を辞めるわけではない。
休暇を終えて王都に戻ってくれば、あの邸には義母のカレンがいるのだ。
元伯爵夫人の義母があの邸を仕切っている限り、コンスタンスが平穏に暮らせるとは思えない。
例え領地で2人が穏やかな時を共有してきたとしても、王都に戻った途端以前と同じ事が起きるのではないか。

それにカレンはコンスタンスの記憶喪失の事実を知らない。
ヒース侯爵邸に滞在していた数日間、ルーデル公爵家の者がガードしてカレンをコンスタンスに近づけなかったからだ。

知ったらあの女のこと。
公爵家やオレリアンの弱みを握ったとばかりに振る舞うかもしれない。
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