7歳の侯爵夫人
そんな微笑ましい2人を眺めながら、俺も漠然と自分の恋人のことを考えていた。
(次回の舞踏会は、セリーヌをエスコートして参加出来たらな…)
と。

最近伯父の養子として伯爵家に入った俺は、近々恋人であるセリーヌにプロポーズするつもりでいる。

セリーヌの両親は、子爵家の次男で継ぐべき爵位がなかった一介の騎士の頃の俺は気に入らないようだったが、武勲を挙げて近衛騎士団に配属されると当たりが柔らかくなった。
そして、伯爵家の養子に入った途端、目の色が変わった。

あからさまな態度にげんなりはするが仕方がない、これが貴族社会というものだ。
まぁ、俺が一介の騎士だろうと、伯爵家の後継だろうと、セリーヌへの気持ちは変わらない。
明るく朗らかな彼女は、きっと喜んで承諾してくれることだろう。

その頃の俺は、自分の未来に光しかないと思うくらい有頂天だったのだ。
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