7歳の侯爵夫人
そして俺は、忙しさにかまけて、義母カレンをも放置していた。
俺にとっては憎悪すべき女だが、それでも義父にとっては愛すべき、晩年を彩ってくれた女なのだ。
出来れば、無理矢理追い出すようなことはしたくない。

だから義母のために王都に家を用意し、何度か侯爵邸を出てそちらに移るようにと伝えていた。
しかし彼女はその度にヒステリックに泣き叫び、俺はうんざりしていた。
いずれは出て行ってもらうつもりだが、とにかく今は面倒で、結局は放置していたのだ。
コンスタンスのこともカレンのことも、ダレルからも何度か忠告されたが、真剣には受け止めなかった。

結局、俺がやっているのはセリーヌの時と同じだった。
周りを見ず、人の忠告を聞かず、忍び寄る悪意にも気付かず、ただ、仕事ばかりしていたのだから。

前の時は、セリーヌに求婚できる身分を手に入れるために。
今回は、身分不相応の結婚をした自分が見下されないために。
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