7歳の侯爵夫人
「貴女は何度私を欺けば気が済むのか」

激怒する俺に、義母は全て侍女のせいにして逃れようとした。
侍女が主人を思うあまり、主人の為になると勘違いしてそんなことを仕出かしたのだと。

もちろんそんな言い訳が通用するはずもなく、俺は、今度こそ義母に侍女を連れてすぐこの邸から出て行くよう告げた。
それでも認めない義母は、声を荒げて反論した。

「私がそんなことするはずないでしょう?私が一番あなたのことを想っているって、知っているでしょう?オレリアン」
媚びるようにすり寄ってくる義母に、吐き気がする。

「今は私がヒース侯爵家の当主であり、この家の主人です。私は近いうちに女主人コンスタンスを迎えにヒース領に行く。私たちが戻って来る前に、あなたはここを出て行ってください」

振り払って背を向けた俺に、義母はヒステリックに声を上げていた。

「ここは私の家よ!私がここの女主人なのよ!絶対に出て行かないわ!」

義母の叫びを無視し、俺はマテオたちに指示を与えた。
侍女をはじめ、義母の息がかかっていると思われる使用人は全てクビにすること。
俺がヒース領に向かう間マテオが王都の邸宅に残り、俺たち夫婦が王都に戻るまでに義母を出て行かせること。
そしてダレルには、配下に指示して義母を絶えず監視させること。

そうして3日後、俺はダレルとセイを伴い、ヒース領に向けて経った。
コンスタンスと結婚式を挙げてから、実に11ヶ月の月日が流れていた。
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