7歳の侯爵夫人

12

邸に戻ると、コンスタンスは一通の封筒を俺の前に差し出した。
今俺たちは執務室で向かい合って座っている。
テーブルの上に差し出された手紙を手に取り、俺はたずねた。

「これは?」
「私に送られてきたものです。差し出し人はルーデル公爵夫人…、つまり私の実母になっておりますが、この字は母のものではありません。それに、ルーデル公爵家からのものなら公爵家の封蝋があるはずです」
「…どういうことですか?」
「…どうぞ、中をご覧になってください」

俺は封筒から手紙を取り出した。
そして1枚目にサッと目を通し、愕然とした。
急いで2枚目も読むと、さらに驚くような内容が書かれている。

1枚目にはこう書かれてあった。

『コンスタンス様
何も知らない貴女が哀れと思い、この手紙を同封します。カレン』

義母カレンである。

そして、2枚目。

『貴方に会えなくなって、どんなに貴方を愛していたか思い知りました。
私はなんて愚かだったのでしょう。
私たちの間には真実の愛があったのに、何故私は貴方を諦めてしまったのでしょう。
ああ、愛しています、オレリアン。
どうか貴方も、あの日々を同じように思ってくださいますように。
親愛なるオレリアンへ
貴方のセリーヌより』

3枚目…。
手紙を開く俺の指が震える。

『ここは、毎日退屈で死んでしまいそうです。
ああ、オレリアン。
どうか、どうか私を早く迎えに来てください。
親愛なるオレリアンへ
あなたのセリーヌより』
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