もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
これからは、どうするんだろう。もう冷酷な王子を演じる必要はなくなった。もっと親しみやすい王子へとシフトチェンジしていくのかな。
「マリー、どうした? ぼんやりして」
「あ、いえ。なんでもありません。これからよろしくお願いします!」
もう私には関係のないことだ。私は私で、もふもふを堪能するのみ!
動物に関わる仕事に就ける。その喜びを噛み締める。
「こちらこそ、よろしく。院長や、ほかの医師たちにも紹介するよ」
王都の中心地にある大きな動物病院。マリーのいた野戦病院はここと引けを取らない充実した設備だった。
野戦病院で働く治療士も危険だからという理由を加味したとしても、多大な恩恵を受けた。報酬や待遇は格別なものだった。
それら全ては、戦争の総指揮を取っていたエリックの手腕だ。
そして。今回、マリーがここ王都中央動物病院の職を得られたのも、王子からの推薦状があったから。孤児院育ちというネックを吹き飛ばす力で、マリーだけでは到底叶わなかった場所で働ける。
エリック、様様だ。