もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

 シンとした空気に包まれた後、イーサンが別の質問をマリーに向ける。

「聖獣が王族にとって、特別なのはマリー様もご存じですよね?」

「はい」

「それは、王族だけが聖獣と魔力を交換し合い、高め合えるからだ」

 エリックの澄んだブルーサファイアの瞳は、真っ直ぐにマリーの蜂蜜色の瞳を見つめる。

「魔力を交換し合い、高め合う……」

 みんなは、聖獣が無意識に奪っていく魔力に翻弄されていた。それが王族は奪われるのではなく、高め合うことができるのなら……。

 そこまで考えて、ああ、だから王族にとって聖獣は、大切な絆で結ばれた相棒なのだと理解できた。

「それができるのは王族だけだ。しかし……どうやらマリーも、同じ行為をしていたようだ」

「え? 私、ですか?」

 確かに大好きなもふもふに囲まれて、『魔力が奪われるどころか、癒されて充電されそうなのに』と思った。

 それが実際に、充電されていたというの?

「マリーは王族の血筋なのかもしれない」

 再び部屋に沈黙が落ちる。
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