もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
「嘘でしょう⁉︎ ここは天国なの?」
ふわふわの塊が我先にとマリーに戯れついて、顔じゅうを舐め回す。
なにかの動物の赤ちゃんらしい。数匹いるどの子も白色で綿菓子みたいに、もこもこしている。
「もう! 私ももふもふするんだから!」
反撃とばかりにふわっふわな体に腕を回し、これでもかと頬づりする。
柔らかな温もりが「みゅうみゅう」可愛らしい声で応える。
「んんっ」
咳払いが聞こえ顔を上げれば、いつの間にか部屋に入ってきていたエリック王子が眉をひそめ腕組みをしていた。
もふもふに囲まれ夢見心地で、先ほどまで恐ろしく思っていたことも忘れ、本音を漏らす。
「ここはもふもふの楽園ですか?」
こんなにも、もふもふを堪能したのは何年振りだろう。
のんきなマリーの言動に、エリックの怪訝な表情が一層険しくなる。
「気に入らないな。俺がいるというのに、子どもの聖獣にしか興味がないのか」
顔を覆っていた布地も、制帽も外している今は眉目秀麗な面立ちがハッキリわかる。