もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

 到着したのは、王都の中央部分に位置する城。
 まさかの場所に、敵の総本山に突撃訪問した気分になる。

 戦々恐々としながらも、グズグズしているのも恐ろしく、馬車を降りていくエリックに続く。

 あんなにいた軍服を着た人々は、別の場所に行ってしまったのか、数名の近衛を残して姿は見えない。

 城の入り口ではたくさんの人々に出迎えられ、立場の違いに圧倒される。
 マリーとしては、自分は本来なら頭を下げる側なのに居心地が悪い。

 中に入ると広々としたホールは採光窓から入る日差しで明るく照らされている。
 絨毯は柔らかく、調度品は上品でありつつも、華やかだ。

 上へと続く階段が緩やかに弧を描き、左右に伸びている。

「では、支度を」

「はい」

 侍女に連れられて「体を清めましょう」と風呂に入れられ、服も真新しいものに変えられた。

 なにが始まるのか説明されないまま。

 そしてある一室に通された。

 中に入ると扉を閉められ、心細く感じ息をひそめる。
 不安げに閉められた扉を見つめていると、背後になにかの気配を感じ、ギクリとする。

 振り返る前に押し倒され、「きゃあ」と頼りない声が漏れる。
 のしかかられ、身動きが取れない。

「まっ、待って!」

 目の前が真っ白になり、思わず声を上げる。
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