もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
「とにかく、マリー様の治療士としての腕は素晴らしいものです。その力を見込んでお願いしているのですよ」
イーサンが口を挟むが、納得できない。
今までの態度のどこが"お願い"なのか。ほとんど"脅し"でしかなかった。
反してエリックはどこか楽しげに告げる。
「聖獣の世話と言わず、俺の専属になってくれてもいい」
美しい顔を近づけて言われ、心臓が飛び跳ねる。
今度は色仕掛けだっていうの? この人、自分の容姿の良さを分かってて、やっているんだわ。
女性がどうすれば自分に傅くのか分かっていそうな態度に閉口するのに、あまりにも秀麗な顔を目の当たりにするとドキドキと脈が速くなる。
「エリック様の専属って、カーティスのお世話をするってことですか?」
顔を背け目を逸らしつつ質問すると、顎に手を当てられ、再び至近距離で見つめ合う位置に戻される。
やめてほしい。心臓に悪いったら!
「カーティスの、か。まあ、それで構わない」
それで構わないって、十分私には荷が重いです!