もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

 私の訴えなんて文字通り揉みくちゃにされたのに、人を見ているのかしら。

 落ち込みそうになるも、可愛い後ろ姿を見ているとどうでもよくなってくる。
 丸いもこもこしたお尻がテトテト進む姿は、悶絶必死。

 あー、かぶりつきたい……。

 煩悩を漏れ出さないように注意して、服をはたきながら起き上がる。

 ほどなくして戻ってきたケイトは、感心した様に言う。

「元気そうね。本当、奇跡のマリアだわ」

 マジマジと観察され、居心地が悪い。

「あの、私はマリア様では、なくて」

「わかってるわよ。マリーよね。すごく心強いわ。よろしく」

「よろしくお願いします」

 差し出した手にガッチリ握手をされ、朗らかに微笑まれた。
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