もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
それから用意されている椅子に並んで腰掛け、改めて聖獣や世話係についての説明を受ける。
まず、魔力とは。という学校で習う初歩的な点から話された。
「動物にとって魔力は特別なもので、栄養は食べ物で事足りるけど、魔力が体に満ちると心地よくなったり元気が溢れてくるのよ」
「はい。私も治療士の端くれです。魔法学校で習いました」
「そうよね。人間も同じで、元々持っている魔力の大小に関わらず魔力を浴びるのは気持ちがいいものね」
ユラニス王国に住んでいる者なら、当たり前に持っている知識でもある。
攻撃魔法以外の回復魔法や治療魔法が癒されるだけでなく、魔力を持っている人や動物と触れ合うとそれだけで魔力を分けてもらえるため、魔力が強い人や動物には自然と人々が集まってくる。
しかし無限に与え続けると魔力を持っている者も疲れてしまうので、自己防衛として誰しもに与えないようにコントロールするのが普通だ。
ただマリーは例外でコントロールする以前に、どうしてか動物に避けられるのだけど。
自分の悲しい体質を再確認して少しだけ寂しい気持ちになっていると、ケイトは至極真面目な顔で告げる。
「魔力を与え過ぎない自己防衛も知っているわね。けれどそれは、あくまでも自己防衛。自分と力が同等か、もしくは自分よりも力が強い者の前では意味をなさないの」
無理矢理他人の魔力を奪う魔法があるのは知っている。
そうではなくて、自分より力が強い者の前では無条件で魔力が吸われていってしまうの?
そこまで考えてマリーはハッと顔を上げ、ケイトと目を合わせると頷かれた。
「そうよ。聖獣は無自覚に、私たちの魔力を体内に取り込んで癒されているの。魔法学校でも習うはずだわ。マリー、その単元サボってたわね」
指摘され、思い出す。『魔力が強い人間や動物の前では注意すること』という先生の注意を、どうせ私には誰も寄ってこないですよ〜と拗ねた気持ちで聞いていた当時の自分を。