もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

 マリーは自分の両手を開き、じっと見つめる。なんの変哲もない、ただの十八歳の娘の手だ。

「頼もしい限りよ。まあ、念のため聖獣と触れ合うのはほどほどに」

「はい」

 あんなに可愛い姿を前にして、ほどほどにできるかな。

 不安というよりも、ワクワクが先行して早くお世話がしたいという期待感が高まる。

「それから忘れちゃいけないのは、聖獣は聖なる獣で、私たちは王族の未来のパートナーを預かる重要な役割を担っているという責任感ね」

「はい」

「マリーは大丈夫そうね。説明はこのくらいにして、あとは実践で身につけてもらうわ」

 ご飯を食べ終わった子から順に、ブラッシングしていくのだが、触れ合わない努力が涙ぐましい。柄の長いデッキブラシみたいなブラシで一匹ずつ毛を梳かす。

 うう。撫で回したい。

 ここでもマリーはもふもふを前にして、眺めているだけで終わるのだった。
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