もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

「同じです」

「え?」

「エリック様とカーティスの瞳の色が。すごく綺麗で、吸い込まれそう。だからカーティスが王子の聖獣だって思ったんだわ」

 ひとり納得するマリーをエリックは目を細めて見つめる。

「ブルーサファイア。俺の瞳と同じ宝石をいつかマリーに送ろう」

「えっ。いえ。いただけません」

「マリーに持っていてほしいんだ」

 穏やかな口調で言われ、胸がキュンと音を立てる。

 麗しの王子に惑わされてはダメよ。

 自分を叱責し、心に決めてきた考えを打ち明ける。

「カーティスが体調を崩したとき、治療するのは承ります。私は治療士ですから。それに、壺を割った弁償もまだ済んでいませんし」

「あくまでも治療士として、か。嫁になれば壺代は帳消しだぞ?」

 手を伸ばした王子の腕は長く、簡単にマリーを捕らえ、引き寄せる。

「あ、あのっ!」
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