ごめん、好き。
やっぱり会話は無かったけど、誰かが来たときには上着を貸してくれたり私を隠すようにしてくれた。
気が利いて、優しい人。
私よりだいぶ大人なんだろうな……。
男の人の後ろを歩き、部屋に戻った私。
男の人は何の躊躇いもなく中に入っていくんだけど、どうしてか私は躊躇ってしまって。
「どうしたんですか?」
「あ、いや……」
フイッと視線を逸らすとクスクスと笑い声が聞こえた。
「今更恥ずかしがるんですか……?」
っ、
図星を突かれ、1度だけ心臓が跳ねた。
この人は全部お見通しなんだ。
だから、ほんの対抗心で私は彼をキッと睨む。
それも気付いてるかもしれないけど。