政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
「熾烈な戦いだ。おふたりとも美人だし」

「まあね。会長は織田さんと話を進めたいみたいだけど、当の専務が全然その気がないから。専務ったら『そんなに結婚したきゃ、自分が離婚して再婚しろ』なんて言うんだって」

「あはは、専務おもしろい」

「ほんと、いい切り返しよね」

 梨花さんとクスクス笑いあって安心した。

(ほら、笑えるじゃん私)

 だからまだ大丈夫。きっと。


 織田家の令嬢、織田以知子(おだ いちこ)

 彼女も幼稚舎から大学まで青扇学園という生え抜きのお嬢さまである。

 つい先日、会社の女子トイレで顔を合わせた。

『あら、秘書さん』と声をかけられて、振り向けば彼女がいたのである。

『織田さま、いらしてたんですね』

『ええ。父と専務に会いに。秘書さんて、青扇にいたんですってね』

『はい。高等部だけですが』

 彼女は一年先輩だったけれど、華やかで目立つ存在だったのでよく覚えている。
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