政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
次の日の夜、弟の蒼生から電話があった。
『すごいよ紗空! 全部解決した』
「え?」
『留学、奨学金でなんとか行けることになったよ! 成績次第では返済しなくて済むらしい。俺がんばる。一千万の借金もあくまで親父が返すという条件でようやく納得した』
「もうそんなに話が進んでいたの? 専務に話をしたばっかりなのに」
弟からそれぞれ両親に電話が代わり、またゆっくりと話をして電話を切ると、すぐにでも専務にお礼の電話をしようとスマートホンの画面に指をあてた。
でも、すんでのところで思いとどまった。
仕事の話ならいざしらず、プライベートな話をこんな時間に電話をかけるのは失礼だ。
スマートホンをテーブルの上に置き、ため息をつく。
私と専務は上司と部下。それだけの関係。
会社を辞めたら縁は切れるし、専務か私かどちらかが異動になればぷっつりと縁は切れる。たったそれだけのビジネスライクな結びつき。