政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
 そう思うと寂しいけれど、忘れてはいけない事実だ。

 気を取り直し、ノートパソコンを開く。

 専務に同行して北海道に行く日が迫っている。十二月の北海道でしかも行き先は行ったことがない釧路。

 日帰りだし、目的はいくつかの工場の視察でほとんど外は歩かないだろうと専務は言っていたけれど、念には念を入れて準備をするに越したことはない。調べなければいけないことは沢山あった。

 何かに夢中な時は、余計な事を考えないで済む。

 専務に何があろうと、気を取られる余裕なんて自分にはない。
 目の前の仕事に一生懸命取り組んで、専務から借りた一千万の借金を一日も早く返さなければいけないのだから。



 そして迎えた北海道出張の日。

 専務を乗せた車が直接マンションに迎えに来てくれた。

「おはようございます」

「おはよう」

 専務はジッと私のバッグを見る。

「すごい荷物だな」

「すみません、一応、念には念をと思いまして」

 日帰りなのに大きなボストンバッグになってしまった。
< 110 / 206 >

この作品をシェア

pagetop