政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
 視察に関する資料も入っているけれど、ほとんどが私物だ。スノーブーツやら耳当てやら、重ね着する下着やら、寒さで辛い思いはしたくないから万全を期したのだけれど、その分パンパンである。

 スーツケースだと雪道でかえって邪魔になるかと思ってボストンバックにしたけれど、ちょっと重たい。

 運転手さんがトランクに入れてくれるのを見ていると、そこに専務の荷物は見あたらなかった。

 車に乗った時、いつもの専務のビジネスバッグが見えた。

「専務は随分身軽ですね。雪対策は大丈夫なんですか?」

「ん?」

「靴……」

 普通の革靴では北海道の雪道を歩けないと思うけれども大丈夫なのだろうかと心配になる。

 すると専務はニヤリと口元をゆがめて、「ほら」と、長い脚を組んで靴底を見せた。

「あ! すごい~」

 一見普通の靴に見えるのに、靴底はゴツゴツしている。それにくるぶしが隠れるほどの高さのあるブーツだった。

「防水のレッグウォーマーも持ったから大丈夫だろ」

「なるほど! さすがですね」
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