政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
「専務、まだお若いのに、人の上に立つってどんな感じですか?」

「ん?」

「あ、すみません。変なこと聞いて。大変だろうなと思って」

 須王専務は、フッと口元をゆがめる。

「今日こそ勝ってやる、毎日がそんな気分だ」

 溜息交じりにそう言った。


 飛行機はファーストクラスなので、それぞれの席に別れると会話はままならない。

 移動中シートベルトを外していいサインが出たところで専務の様子をうかがうと、どうやら眠ているようだった。

 日頃の激務を考えればそれも納得で、貴重な休憩時間なのだろう。そっと席を立ち専務のブランケットを整える。

 今日こそ勝つと彼は言ったけれど、彼はいつだって勝っている。

 仕事で大きな失敗をしたとか負けたという話を耳にしたことはないし、勝ち続けているはずなのに、それでも彼は"今日も"とは言わず、今日こそ勝つと言った。

 その文字の違いにどんな意味があるのかわからないけれど、専務の強い決意を感じた。
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