乙女ゲームに転生した華族令嬢は没落を回避し、サポートキャラを攻略したい!
時は大正五年。場所は京都御所の北にある白椿家。
誰もが寝静まった真夜中、絃乃はハッとして両目を開ける。
「……夢……?」
ぐっしょりと濡れた寝間着を見下ろすと、寝汗をかいたのだと悟る。
どくんどくん、と心が早鐘を打っている。夢から覚めた衝撃が心を揺さぶる。
(私は……転生……しちゃったの?)
白椿絃乃。それは乙女ゲーム『紡ぎ紡がれ恋模様』のヒロインではなく、同じ女学校に通う友人の名前だ。
ヒロインは軍人の娘、絃乃は華族のお嬢様。
本来なら、明治に天皇の住まいが東京に変わると同時に、東京に移り住む予定だった。しかし、史実とは異なり、京都に残った数少ない華族としてゲームに登場する。
(ちょっと待って。絃乃って、途中で失踪するんじゃなかった……?)
この乙女ゲームは純愛モノだが、若干だが大正ミステリーの要素も含まれている。ゲーム中盤に起きる失踪事件の謎を解かないと、絃乃も失踪してしまうのだ。
しかも父親がショックで倒れ、白椿家は家督を継ぐ者もおらず、そのまま没落するという最悪の形を迎えて。
ちなみに、その謎を解かなくても、ヒロインはゲームをクリアすることができる。意中の相手とフラグを立て、好感度を満たしていれば、一応はハッピーエンドとなる。
(何回かクリアはしたけど、結局その謎は解いていない……!)
攻略キャラをすべてクリアしてから登場する隠しキャラがいないと、謎解きイベントは発生しないのだ。前世では三人までクリアしたものの、残り一人というところで命が尽きた。無念としか言いようがない。
(……って、現実で四人とゴールするなんて無理でしょ! 隠しキャラが出てこないじゃないの!)
これはもう、人生に詰んだと言えるのでは。
両手で顔を覆い、運命を嘆く。外では真夜中にもかかわらず、鳥の鳴く声が響いていた。
誰もが寝静まった真夜中、絃乃はハッとして両目を開ける。
「……夢……?」
ぐっしょりと濡れた寝間着を見下ろすと、寝汗をかいたのだと悟る。
どくんどくん、と心が早鐘を打っている。夢から覚めた衝撃が心を揺さぶる。
(私は……転生……しちゃったの?)
白椿絃乃。それは乙女ゲーム『紡ぎ紡がれ恋模様』のヒロインではなく、同じ女学校に通う友人の名前だ。
ヒロインは軍人の娘、絃乃は華族のお嬢様。
本来なら、明治に天皇の住まいが東京に変わると同時に、東京に移り住む予定だった。しかし、史実とは異なり、京都に残った数少ない華族としてゲームに登場する。
(ちょっと待って。絃乃って、途中で失踪するんじゃなかった……?)
この乙女ゲームは純愛モノだが、若干だが大正ミステリーの要素も含まれている。ゲーム中盤に起きる失踪事件の謎を解かないと、絃乃も失踪してしまうのだ。
しかも父親がショックで倒れ、白椿家は家督を継ぐ者もおらず、そのまま没落するという最悪の形を迎えて。
ちなみに、その謎を解かなくても、ヒロインはゲームをクリアすることができる。意中の相手とフラグを立て、好感度を満たしていれば、一応はハッピーエンドとなる。
(何回かクリアはしたけど、結局その謎は解いていない……!)
攻略キャラをすべてクリアしてから登場する隠しキャラがいないと、謎解きイベントは発生しないのだ。前世では三人までクリアしたものの、残り一人というところで命が尽きた。無念としか言いようがない。
(……って、現実で四人とゴールするなんて無理でしょ! 隠しキャラが出てこないじゃないの!)
これはもう、人生に詰んだと言えるのでは。
両手で顔を覆い、運命を嘆く。外では真夜中にもかかわらず、鳥の鳴く声が響いていた。