桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「……という事があったの。甘えられるってそんなに嬉しい事なのかしら?」
私は昨日の匡介さんとの会話の内容を、仕事の準備を終えたばかりの寧々に話して聞かせる。
もともと寧々は私の面倒を見てくれていた女性だし、私の相談に乗るのも彼女の仕事みたいなものだったりする。
「ずいぶん愛されてますねえ、杏凛様。私にはそんな台詞を吐く旦那様は想像出来ませんけれど」
寧々の少し揶揄うような言い方に、その場面を思い浮かべて思わず顔が熱くなる。愛されているのかも、特別に思われているのかもと私も少し期待してないわけじゃない。
だけどそれは全て遠回しな言い方で、はっきりと匡介さんから私に愛を囁かれたわけじゃない。それでもやっぱり……
「そうなのかしら? 匡介さんは優しいから、こんな言葉をかけられているのは私だけじゃないのかもしれないし……」
「……奥様、それはいくらなんでも旦那様が気の毒です。確かにまだ彼の朝帰りに関しては、何も解決していませんが」
匡介さんを庇おうとしたのだろうが、寧々は私が気にしないようにしていたことを蒸し返してしまう。彼女も慌てて口を塞いだが、私もばっちりあの日の事を思い出してしまって。
「あの日の朝帰り……」
「すみません、杏凛さま。つい余計なことまで……」
申し訳なさそうな寧々に首を振ったが、確かにあの日の事は何も解決していない。あれから匡介さんが何かを話してくれることも無かった。