桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「それにしてもこんな可愛い新妻を一人置いて、どこで何をなさってるんでしょうね? 帰ってきたらしっかり問い詰めるんですよ、奥様」
そう言って匡介さんを責める事も出来ない私の代わりに怒ってくれる寧々、本当に彼女がここに来てくれてよかった。でなければ、今頃はきっと不安で逃げ出したくなっていたでしょうから。
私はどこかで匡介さんとの契約結婚に、もう少し夫婦らしいものを期待していたのかもしれない。こんな風に放っていかれた事に寂しさを感じているのだから。
「いいの、匡介さんは悪くないわ。この結婚が契約であると、きちんと割り切って考えなければいけなかったのだから」
彼がどこで何をしていたかなんて、私に知る権利なんてあるとは思えない。何も出来ない私はお飾りの妻らしく、三年間をこの家で過ごしてればいいのでしょうから。
「杏凛様。たとえ契約だけの関係だとしても何をしてもいい、相手に心配かけても構わないというわけではありません。契約で結ばれているからこそ相手と真摯な態度で向き合うべきだと思いませんか?」
自信満々、良い事を言ったわ! という顔で微笑む寧々は本当に頼れる存在。
「寧々……」
こうやって寧々は私が素直に出せないでいる気持ちを代弁してくれる。そうして頑張ってと自信なく丸めた私の背中を押して前を向かせてくれるの。
寧々の笑顔につられて、ホッとしていると「ガチャリ……」と玄関の扉の開く音がした。