桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「杏凛、どうして君がここに?」
自分が会社の医務室にいることも分かっていなさそうな匡介さん、私はすぐに起き上がろうとする彼をベッドへと押し戻す。まだ休んでいなければ、こんな状態で仕事に戻すわけにはいかない。
私の行動に匡介さんは驚いた顔をするけど、そんなの構っていられないの。
「倒れたんです、匡介さんは。私は連絡を貰ってここに来た、それだけのことです」
自分の事より私の事ばかり気遣う匡介さんに、そう言って毛布を綺麗にかけなおす。心配した、そう言えばきっと匡介さんは心配かけないようにもっと無理をするに違いないから。
「そうか、すまなかった。俺はもう大丈夫だから君は月菜さんの所へ……どうしたんだ、その傷は!」
私を月菜さんの所へ行かせようとする匡介さんにムッとして、居座ってやろうと置いてあるパイプ椅子に腰かけた。そんな私を見た匡介さんが今度こそ勢いよく起き上がる。
そのままベッドを飛び降りるようにして私に近づいた匡介さんは、私の傷付いた足や汚れたスカートを見てさっき以上に顔を青くした。
「あ、これは……ちょっと急いでて」
「ジッとしてるんだ、すぐに手当てをするから!」
滅多に怒ったりしない彼が私に強い口調でそう言った。それくらい匡介さんが私を心配してくれてることが、胸の奥をジンとさせる。
ああ、やっぱり……この人が好き。