桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「どうしたらこんな怪我をするんだ、俺がついていればこんな事には……」
そう言って急いで脱脂綿を消毒液で浸して、そっと傷口を撫でていく。彼がどれだけ沁みないように優しく触れているのかが分かって、胸がきゅんとしてしまう。
私が匡介さんに何かしてあげたいのに、結局こうなってしまうのよね。
「沁みないか? 痛かったら言ってくれ」
「大丈夫、痛くないので」
匡介さんは大きめのガーゼを取り出し傷口を保護すると、その上からネット包帯をはめていく。いくらなんでもこれは……
「大げさじゃないですか? ちょっと転んだくらいの怪我で」
「いいや、後で病院に行って診てもらってくれ。月菜さんにそう頼んでおく」
まるでこのまま私を帰すような言い方に少し多気カチンとくる。自分は倒れるほど無理をしてるくせに、私に何も心配させてくれないの?
もちろんこのまま帰る気なんてない私は……
「それなら匡介さんが病院まで連れて行って下さい。それまでここから動きません」
「杏凛……?」
驚いた顔をする匡介さんだが私は引き下がる気はない、私を病院に行けというのなら匡介さんだって行くべきだわ。そんなわたしから少し距離を取ろうとする匡介さんの腕を掴んで引き止める。
「しかし、俺は仕事に戻らなくては……」
「では終わるまでここで待ちます、それなら文句ないでしょう? でも飛島君たちがこんな状態の匡介さんに仕事を任せるとは思えませんけど」
これは何となくそう思って言っただけだけど、きっとそうなんじゃないかしら。