桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
匡介さんからシーツを持つ手を掴まれ、睨むようにジッと見つめられてしまう。
彼から言われた言葉をゆっくりと頭の中で繰り返して考えてみる、今の言い方だと匡介さんは義務で私に優しくするつもりはない……?
つまり優しくしているのは、自分の本心と言っているの? それとも義務でも妻の私には優しくしたくないという意味なのか。
「……そうですね、では匡介さんが私に優しくする理由って何でしょうか?」
お互いに想い合い、愛し合って結婚した夫婦であればそれが当然なのかもしれない。でも私には匡介さんに優しくされる理由も資格もありはしない、ただのお飾り妻……
「理由? そんなもの考えたことも無い」
匡介さんは少しも迷う素振りなど見せずにそう言い切った。彼のその真っ直ぐな瞳はとても嘘をついているとは思えない。
「……だが、そうだな。杏凛に優しくしたいのは俺自身のためかもしれない。そうすれば少しくらいは君だって俺を頼りやすくなるかもしれない、と」
「……匡介さん」
少しだけ視線を逸らして、いつもより低い声で匡介さんはそんな事を言う。私が匡介さんを頼れないでいる事にも気付いて、そんな風に考えてくれていたなんて。
捻くれた事ばかり考えて周りの人に拗ねた態度ばかり取っている、そんな自分が恥ずかしくなった。