桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「もし杏凛が……今はまだ俺の優しさに理由を付けないと安心出来ないというのならば、そんなものはいくらでも用意してやる」
どうしてこの人はこんなにも真っ直ぐに私を見ることが出来るの? 私は自分に自信が無くて夫である匡介さんから目を逸らしてばかりいるのに。
彼の外泊の理由だって私はまだ教えてもらえてない。そうやって隠し事をしているのは匡介さんの方なのに、彼はその切れ長の瞳を私から逸らすことは無い。
「……そうですね、分からないから不安なんです。私には匡介さんが何を考えているのか少しも理解出来ない」
この人と結婚するずっと前から、私は匡介さんの事がよく分からなかった。結婚が決まって二人で挙式の準備をする時も、彼はずっと無表情のまま話を進めていて……
匡介さんに愛して欲しいとか想い合いたいなんて望んでいないつもりなのに、この結婚には何の感情の無い事を思い知らされる度に何とも言えない気持ちになるのはどうして?
「君は俺の何が知りたい」
「……え?」
「俺の事を知りたいと思うのなら何でも聞いてくれ。俺を理解したいと思うのなら君の意見も遠慮せずに言って欲しい。俺は杏凛を不安にさせるために君を俺の妻へと望んだわけではないのだから」