桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
真剣な表情の匡介さんを信じて待っていたい、私にだってそんな気持ちもあったりはするの。だけどその理由も何も話してくれないのに、待てるほど私達の間に信頼関係を築けていると思えない。
いったい何が私の為になるのか、どうしてそれが結婚式の夜である必要があったのか。私には何も分からないのに……
「……言えない理由は、私が鏡谷の家にとって何の役にも立たない人間だからですか?」
少し投げやりにそう言ってみれば、匡介さんはそんな私の言葉を聞いて眉を寄せた。あまりに卑屈な考え方に彼も呆れているのかもしれない。
私は昔からこうだった、自分でこうだと思ったらいい事でも悪い事でもその考えをなかなか変えたりすることが出来なくて。
だから匡介さんに対するこの可愛くない態度も、きっと最後まで……
「俺は杏凛が役に立つか立たないかで、己の価値を決めようとするところは好きではない」
じゃあ、どこか好きな所もあるんですか? なんて聞く勇気はなかった。思ったよりも匡介さんの「好きではない」という言葉にショックを受けていたから。
嫌うならこんな風に構わなければいい、いつもだったらこれくらいの事は言えるのに。そう思って俯いていると、匡介さんの腕が伸びてきて……
私の側頭部にそっとその大きな手が添えられ、そのまま眠るために下した私の髪をそっと梳いていく。