冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す


「岩倉さんの眼差しとか仕草とか態度が、いちいち私が大事だって教えてくるんです。私が不安になる暇なんてないくらいに、いつもいつも。きっと岩倉さんは意識して私に伝わるように行動していて……努力してくれていて。それがわかるので、私はこれからも岩倉さんが望む限りは隣にいると思います」

ラッピング袋に三枚のチョコサンドを入れたあと、袋の口に青いリボンをつける。
蝶々結びをしてから、それを目線の高さに持ち上げて眺める。

初めての挑戦だったけれど、そこそこ満足のいく出来上がりだった。
きちんと完成したことが嬉しくて、笑みをこぼしながら佐鳥さんを見た。

「岩倉さんもたぶん、私に不安とか不満とか、難しいことを考えるよりは、呑気に笑ってて欲しいのかなと思うので……それはとっても傲慢というか、私が都合よく考えているだけかもしれませんが、岩倉さんを見てるとそんな気がして」

勘違いかもしれないけれど、岩倉さんが表情を和らげるのは、私が笑っているときのように思う。

〝私なんか〟と言わなくなった私を、嬉しそうに見ているのも知っている。
岩倉さんが私のためにこっそりしてくれている努力を、たくさん知っている。

だから、こんなに自信のなかった私ですら、岩倉さんの気持ちを疑って不安になんてなれないのだ。

どうして私なんだろう、という疑問は残ったままだけど、それでも岩倉さんの気持ちは疑いようがないのだから仕方ない。

しっかり愛されていると、実感させられてしまったのだから、仕方ない。

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