冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
「ちょっとズレちゃいましたが、私は、岩倉さんが望んでくれる限りは呑気に笑って傍にいるつもりです。なんの役に立てるかはその時その時考えますし、結果なんの役にも立てなくてもすみませんって謝るだけです」
クッキーの完成品を冷蔵庫にしまう。
半端に残った物をどこにしまっておこうかと考え、タッパーに入れておくことにした。
「佐鳥さんが心配している、この先にある壁だとか、そういうのはその時に考えて……ひとりでどうにもできなかったら、岩倉さんにも相談して答えを出します」
そう答えると、それまで黙って聞いていた佐鳥さんがふっと頬を緩めた。
とても満足そうな顔だった。
「桜ちゃんってさ、自己肯定感すごい低いじゃん。自信なんか全然ないしすぐ謝るし。なのに岩倉に想われてるっていうことには自信持ってる。それって、岩倉の気持ちが相当でかいって意味だよね。桜ちゃんが認めざるを得ないくらい」
近づいた佐鳥さんが、タッパーにしまおうとしていたクッキーサンドをひとつ手に取る。
止める暇もなく口に放り込まれてしまい、不安になりながら見ていると、佐鳥さんは「ん、うまい」と笑うのでホッとした。
「なんか、あいつのことだから素直に言葉にできてないんだろうなーと思ってたけど、こうなってくると言葉にこだわってた俺がバカだったなって思う。もう一個食べてもいい?」
「あ、はい。これは余りなので。どうぞ」
タッパーを差し出すと、佐鳥さんがまた一枚つまむ。