冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す

「こないだから意地悪言ってごめんね。俺にはさ、どうしてもふたりの関係が不安定に見えて仕方なくてついお節介したくなっちゃってさ。それだけしっかり両想いなら言うことないよ。俺もふたりがうまくいってこのままずっと一緒にいてくれたら嬉しい」

最初からただの意地悪だとは思っていなかったので、首を横に振る。
佐鳥さんは岩倉さんの友達だから、岩倉さんをよく知っているからこそ、心配してくれた証拠だ。

「嫌な役割を買うほど、岩倉さんが好きなんですね。なのに隣にいるのが私みたいな呑気な女ですみません。本当に、どうして私なんかを好きになってくれたのか謎でしかないです」

自嘲するように笑った私に、佐鳥さんは「いやいや」と首を横に振った。

「岩倉自身がガチガチに固いヤツだから、隣にいるのはふわっとした子がいいのかもね。あの岩倉に愛を語らせたんだから、桜ちゃん自信持っていいよ」

佐鳥さんがははっと笑ったとき。

「〝私なんか〟はやめろ。あと勝手にあがりこむな」

突然、そんな声が割り込んできて驚く。

佐鳥さんとふたりして振り向いた先にいたのは岩倉さんで、その視線は佐鳥さんに向けられていた。
じろっとした目つきに、佐鳥さんが苦笑いをこぼす。

「いやー、ごめんごめん。怒ってる？　でも、結果オーライだから」

そんな佐鳥さんに、岩倉さんはやれやれとでも聞こえてきそうな顔でため息を落とした。