好きだよ。。。
香桜ってば
「つぐみ先輩・・・昨日はすみませんでした。私の我儘で」

仕事が始まってまもなく、真澄が私のデスクへやって来た。

「いいのよ。結構時間かかっちゃったけど、無事終わったから」

そのあとのことを真澄が知ったら、彼女は地団駄を踏むことだろう。しかも、今日も翔太君と夕食だ。・・・ふいに昨日、翔太君がくれたキスの感覚を思い出して赤面する。出会って数日で恋に落ちてキスまでしちゃうなんて、私のキャラじゃないのに・・・。

「なぁに、赤くなってんのよ」

肩を叩かれて 、振り向くと残っている同期の中では唯一女性の、受付の香桜(かお)が不思議そうな顔をしていた。

「なんでここに」

「総務部宛の郵便物、持ってきたらどっかの誰かさんが顔赤くしてにやけてるから」

「にやけてないし!」

「はいはい、ランチタイムにたーっぷり聞いたげる。じゃあね」

香桜は、ひらひらと手を振って去っていってしまった。
< 17 / 29 >

この作品をシェア

pagetop