飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「でも父は何故そんな事を? 柚瑠木兄さんが私にこうして話してくれたのは、いい意味では無いからなんでしょう」
分かってる、柚瑠木兄さんが本当は私に話す事を悩んだはずだってことは。それでもこうして会いに来てまで教えてくれるのは、私の事を思ってなんだって。
どんなに嫌いでも、母を亡くした私を引き取って育ててくれたのは父だから。
「そうですね、千夏にとっては良い話ではないと思います。多分、この事が公になれ萩さんの立場も危ないでしょうから」
父の立場の立場が……? それは私だけでなく多くの人を巻き込むことになるのかもしれない。兄や姉、そして妹の梓乃。私が育ったあの屋敷や父の下で働くたくさんの人たちまで?
そう考えると背中に冷たいものが流れるような気がした、そんな事になってるなんて私は思ってもいなかったから。
「私は、それを知ってどうすればいいの……?」
「千夏には特別に頼みたいことがあります。ですが、それまでにもう少し証拠集めが必要なのです」
私に特別に? その言葉の意味が分からずキョトンとしていると、柚瑠木兄さんは「いずれ説明します」とだけ言うと店員にテーブルの片づけを頼んだ。
……今度は私があの時準備したコピーを見せる番なんだわ。