飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「これ、櫂さんの部屋に置いてあった去年の手帳をコピーしたの。運よく一日だけ彼が手帳を忘れた日があって、今年の分がこっちになるわ」
カバンから取り出したコピー用紙の束をテーブルの上に置く、柚瑠木兄さんはすぐには手に取らずじっと私を見つめてきた。
「僕が見てもいいのですか? 千夏はこれを新河さんに黙って持ってきたのでしょう?」
真面目な柚瑠木兄さんらしい言葉、もしこれが櫂さんに知られたときの私の心配をしてくれてるのだと思う。その気持ちは嬉しいけれど、これを柚瑠木兄さんに見てもらう事でなにか分かる事があるのだとすれば……
私はその問いかけに、静かに頷いて見せる。
「お願い、そこに書いてある事で何か分かる事があれば教えて欲しいの。これから先のこと、ちゃんと考えて行動したいから」
たとえこれから知ることが私にとって良くない事だとしても、それもきちんと受け止めて櫂さんとの未来を選ばなきゃいけないんだって。
そう覚悟を決めるまで、思ったよりも時間はかかったけれど……それでも彼との時間を過ごして、やっぱり櫂さんとの事は前向きにどうにかしていきたい。
「千夏がそこまで覚悟を決めてきたのなら、見せてもらいます。僕の知りたい情報が書かれている可能性もありますから」
柚瑠木兄さんはそう言うと、去年分の手帳のコピーから手に取り真剣な表情で目を通し始めた。