飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
柚瑠木兄さんは去年分と今年分の手帳のコピーをすべて見終わるまで無言だった。その紙の中から十数枚を別によけているのが気になったが、最後の一枚を彼が置くまで黙って待っている。
待つ時間が凄く長くて、胃まで痛くなるけれどジッと我慢。そうしていると柚瑠木兄さんは最後の一枚を置いて、先ほどよけていた方を手に取った。
「ありがとうございます、千夏。これには僕が知りたかった情報の一部がありました」
「……ということは? つまり櫂さんも?」
柚瑠木兄さんが知りたかったこと、それは父が関わる会社での謎のお金の動き。考えられるとすれば不正や横領、それとも他の何かなのかもしれない。
それに櫂さんがどのように関わっているのか、考えるだけでも体が震えてくる。知りたい、でも知るのが怖い。
「新河さんがどう関わっているのかはまだわかりません。ですが萩さんの経営する複数の企業にこれだけ頻繁に出入りしてるということは何か訳があるのでしょう」
「もし、櫂さんが父に何かしら協力しているとしたら私はどうすれば……」
櫂さんの事を信じようと思っているのに、頭の中はどんどん悪い方へと考えてしまうそうになる。そんな私の様子を柚瑠木兄さんは黙って見ている、きっと落ち着くまで待ってくれているのだと思う。