飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
櫂さんの髪からは私とは違うシャンプーの香りがする、爽やかなシトラス系を好む彼の匂いにもだいぶ慣れてきたけれどやはりまだドキドキしてしまう。
櫂さんは私の腕の高さに頭を下げて大人しくされるがままになっている、そんな所も可愛く思えて。
「時々子供みたいですよね、櫂さんって。いつもは大人っぽいのに、狡くないですか?」
「もしかして母性本能くすぐられちゃったりする?」
そう言って笑う櫂さん、もしかしたらこれも彼の計算の内なのかもしれない。それなのに彼の行動や言葉に一喜一憂してしまうから私もどうしようもなくて。
女性の扱いに慣れた櫂さんには私みたいな恋愛初心者を手のひらで転がすなんて、それはもう簡単なことなんでしょうけれど。
ちょっとだけ仕返しのつもりで彼の髪を拭く手に力を入れると、櫂さんは「図星だな」なんて言って楽しそうに笑う。そういう所が、ちょっとだけ悔しいの分かってるくせに。
【ピピピピピピピ……】
セットしたタイマーの音に気付いて、櫂さんの頭から手を離しキッチンへと戻る。タイミングよく鳴ってくれて良かった、心の中でそう思いながら。
フライパンの中を確認すれば、お肉も野菜もちょうどよく焼きあがっていて美味しそう。これなら櫂さんにもきっと喜んで貰えるだろうとホッとしてお皿に盛りつけた。