飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~


「遅いわよ、私を待たせるなんていったいどういうつもり?」

 久しぶりに会ったと思ったのに、異母姉の百々菜(ももな)は開口一番にそんな言葉で私を責めた。まったく変わらない自分中心なその考え方にある意味感心してしまう。

「すみません、予定していた時間よりバスが遅れてしまって」

 本当は待ち合わせの時間の五分前には着いている、だがこう言わなければ異母姉が納得しない事も十分分かっているから仕方ない。
 私が立ったまま彼女にお辞儀をしても、百々菜はそれが当然だと言うように立ち上がりもせず椅子にふんぞり返っったまま。どうしてこうも姉妹で性格に違いがあるのかと思うほど。

「アンタみたいな卑しい子が私を待たせることが問題なの。遅れそうなら走ってでも先に来ておくべきでしょう?」

 その言い方に何となく胸の奥がもやっとする、相手に対する不快感が胃の中から競り上がってくるような。おかしい、姉のこういう言動にはとっくに慣れて聞き流すことが出来ていたはずなのに。
 ずっと自分の感情を押し殺すようにして生きてきた。でも(かい)さんと暮らすうちに自分の心はそう出来なくなってしまっていたのかもしれない。
 櫂さんが私の隠してきた感情を全て優しく受け入れてくれたから……

 卑しい女の娘、あの屋敷で暮らしている間ずっとそう言われ続けた。では異母妹をこうやって一方的に侮辱する貴女は聖女だとでも言うのか、と返したくなる。


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