飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「梓乃が理由もなしにそんな事をするとは思えません、もしそれが本当だとしたらお姉様が先に何かされたのではないですか?」
今までの私だったら黙って聞いていたはず。でも今は同じように聞き流すことは出来なかった、つい最近になって梓乃の本心を知ってそんな彼女の苦しみも理解したから。
自分の我儘で何でも思い通りにしてきた百々菜の言葉だけを信じるなんて不可能だった。
「何ですって、私が何をしたって言うのよ⁉ 本当にアンタも梓乃も躾がなって無いわ、特にあの子はお父様に厳しく叱ってもらわなきゃね」
頭に血が上る、というのはこういう感じなのか。一瞬で今までの姉に対しての恐怖や恐れが吹き飛んで、自分の感情のままに言葉を発していた。
自分の事なら我慢出来たのかもしれない。でもそれが梓乃の事だったから、私の中の何かが切れたのだと思う。
「梓乃に何かするのは止めてください!」
突然大きな声を出され驚く姉と、初めて口答えをした事に戸惑う自分。周りの席の客たちは何事かとこちらをチラチラと見ている。
だけど、一度堰を切った異母姉に対する感情は止まることなく一気に溢れ出してしまう。
「梓乃はお姉様とは違います、貴女みたいに人を貶め蔑み喜ぶような子でもありません。あの子に嫌がらせをするのは私が許しません!」
こんなに感情的になったのは母が生きていた頃以来かもしれない。自分でも信じられないくらい、私は素直な気持ちを異母姉の百々菜にぶつけていた。