飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~


 ぜえはあ、と肩で息をする。周りから注目の的になってしまっているが、そんな事もうどうでもいい。私にならどれだけ嫌味や攻撃しても構わない。でも梓乃(しの)にまでこれ以上嫌な思いはさせたくなかった。
 あの子も今、高宮(たかみや)さんとの結婚の事できっと精神的な余裕がないと思ったから。

「……あ、なんなの? アンタたちは、私のいう事にそうやって反抗ばかり。せっかく私が千夏(ちなつ)のためを思って色々教えてあげようと思ってきたのに!」

 私のため? 意地悪な異母姉がそう言うということは私にとってとても都合が悪い話だということに違いない。きっとそれを教えることで私が苦しむ姿を見て楽しむつもりで来たのでしょうね。
 それでもその話の内容に興味があった、もしかしたら父と(かい)さんに関わる事なのかもしれない。そう思うとゴクリと喉が鳴る、このまま姉の話を聞くべきかそれとも……

「何を、教えてくれるんですか? 私に関係することなんですよね」

「ええ? どうしようかしら、千夏の態度が生意気だったから気分が変わっちゃったわ」

 こういう所が百々菜(ももな)の一番嫌なところだとも言える、いつもこうやって何もかもを自分の思い通りにしないと気が済まないのだから。
 でもここで反抗的な態度を取れば、きっと姉は教える気を無くしさっさと帰ってしまうはず。それを考えるとここは自分が我慢するしかないのかと悔しくなった。


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