飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「……そういうわけじゃ、ないけれど」
やっぱり、予想した通り梓乃の答えは曖昧だった。彼女はまだ気付いてないのかもしれないけれど、すでに梓乃には高宮さんへの何らかの感情が芽生えているに違いない。
それに戸惑いこうして私に相談しているんだわ。意外と可愛い異母妹の一面を見たことで、ちょっとした悪戯心が湧いてくる。いけないと分かっているのに揶揄いたくなるなんて私は櫂さんに似てきたのかしら?
「じゃあどうしたいの? 高宮さんが梓乃を甘やかすのも恋人のように優しく振舞うのも嫌なんでしょう、貴女は」
「い、嫌なんて言ってないわ!」
そのまま立ち上がるほどの勢いで梓乃は前のめりになって否定する。こんなに感情的になる彼女は珍しくて、こっちの方が驚くほどだった。
高宮さんの行動に困ってる、でもそれが嫌なわけじゃない。単純に考えればすぐに分かりそうな答えなのに、難しく考えるのが捻くれた梓乃らしいと思った。
「それならそのままでいいんじゃないの? 悩む必要なんてないじゃない、そのまま甘えちゃってれば高宮さんも喜ぶだろうし」
「でも、そんな訳には! 私と一輝さんはただの契約結婚なわけで、甘えるなんて……」
ううん、梓乃はけっこう頭が固いみたい。契約結婚という言葉にとらわれ過ぎて彼女自身が身動きを取れなくなっているようにも見えた。
きっと高宮さんはそうではないのでしょうに。