飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「してません! そんな、期待なんて……っ」
ずっと親兄弟に監視されて暮らしてきた私は、もちろん異性とのお付き合いだって経験したことは無い。それどころか学生時代も異性との問題を起こさないようにと女子校に通わされていた。
それも必ず「男を誑かす卑しい女の娘だから」という余計な一言をつけられた上で。
そんな私が男性に期待する事などあるわけもなく、急に逞しい体に抱きしめられて戸惑ってしまっているだけ。男の人の身体が女性と違って硬くて力強いなんて知らなかったもの。
ただ焦って動けなくなっている私に櫂さんは……
「そう? 俺は千夏が期待してくれると嬉しいけどな、今夜が楽しみになるだろ?」
「な、なんてっ……!」
櫂さんの意地悪い囁きに頭が爆発してしまいそう! これが揶揄っていると分かるほど私は男女のそういう事に鋭くなくて、想像することにより顔を赤くしたり青くしたりした。
頭の中がショートするように、私はへなへなとその場にへたり込んでしまう。ずっと部屋にこもって裁縫ばかりしていた私には櫂さんの言葉は刺激が強すぎて……
「マジで……ツボだな」
「……何がですか、笑ってないで手を貸してくださいよ」
ペタンと座り込んだ私を見て櫂さんは口を手で隠すような仕草をしている。もしかして馬鹿にされているのだろうか?
座り込む原因を作ったのは櫂さんだけど、今この状態で私が頼れる人がこの人しかいないのも現実だった。