飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
拗ねた顔をして見せれば余計に櫂さんを笑わせることになる、だからと言ってこんな状況で澄ました顔をしていられるほどクールなタイプでもない。
でも櫂さんの笑う顔は両親や兄姉とは違って決して私を馬鹿にしている風ではなかった。むしろ少年のような可愛さの感じられるその笑顔に、私の胸が落ち着かなくなってくるくらいで。
「……そんなに笑い続けなくてもいいのに」
「悪かったよ、千夏がいろんな顔を俺に見せてくれるから。つい……」
櫂さんは当然のように私に謝ってくるので、その事に私は驚いた。二階堂の家では家族はもちろんの事、使用人だって私に謝罪なんてしないのに。
「私なんかに謝ったりしないでください、櫂さんがそんな事をしてはダメ!」
この人はSHINKAWAグループの御曹司なのだ、私みたいな二階堂の中でも価値のないような人間にそんな事はさせられない。そう思ったのに……
「何故だ?」
「……え? あっ、櫂さん?」
さっきまでと違う鋭い目で見つめられて戸惑っていると、彼に手首を掴まれ引き寄せられる。櫂さんの強い力であっという間に私は彼の胸の中へと逆戻りしてしまった。
「どうして俺が千夏に謝る事がいけないんだ? 俺たちは対等のはずだ、その気になったら土下座だって出来る」
「でっでも、そんなこと他の方が知ったら……」
櫂さんがそう考えていても、周りの人はそうじゃないはず。愛人の娘である私の事を心の中ではどう思っているかなんて、実際には分からないのだから……