飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「本当に?」
「本当です! 櫂さんはちょっと自意識過剰なのでは?」
聞かれたくない事をしつこく訊ねてくる彼に、嫌味な言葉の一つも言いたくなる。すぐに納得してくれればいいのに、そうしないのが櫂さんらしいと言えばそうなのだけど。
けれどこの人がそんな私の言葉を気にするわけもなく……
「千夏こそそんな過剰に反応してると、俺の良いように解釈させてもらいたくなるんだけどな?」
もう! 櫂さんは私の考えている事なんてお見通しとばかりに、大胆な発言で私を困らせてくる。半分以上は揶揄われてるのだと分かっているのに、いちいち顔を赤くしてしまう自分が情けない。
この近い距離のせいで、彼のつけているシトラス系の香水の匂いにまで酔わされてしまいそうなのに……
結局きちんと櫂さんを拒否する事も出来ないまま、私たち二人の距離だけが近づいていく。彼がそんな私の様子に満足そうに微笑んで、私のあごに手を添えた。その時……
「ぐううう……ぅ」
櫂さんの手が私の顎から外れ、その視線はすぐに私の腹部へと移動した。じっとお腹を見つめられて、顔から火が出てしまいそう。そう……この状態で、私は緊張感の欠片もなくお腹を鳴らしてしまったのだった。
きっと櫂さんに笑われてしまうに違いない、もう私は俯いたまま顔も上げる事も出来なくなっていた。